神奈川県畜産技術センター 技術情報 2008年9月
「若い世代が頑張っています」〜(社)神奈川県養豚協会青年部の活動から〜
(社)神奈川県養豚協会には、若手経営者や後継者、農場の若手従業員も含んだ青年部があります。この青年部では、厳しい生産環境の中で養豚経営が持続的発展できるよう、平成17年度から、部員相互の養豚技術向上、特に飼養管理と発育の改善を目的として活動する「生産技術向上研究会」を実施し、平成19年度からは「肉豚勉強会」、「視察研修会」、「研修会」も加えて、さらに技術や知識の向上を図っています。
1 生産技術向上研修会(写真1・2)
生産技術向上研究会では、調査に参加している各農場での、離乳から各発育ステージ毎(40・70・110・150の各日齢)で発育の調査を行うと同時に、各農場の飼料切替・豚舎の移動・衛生プログラム・飲水状況・豚房面積等の飼養体系や、飼料の給与量も把握しています。各ステージの発育調査終了の度に研究会を開き、標準的な発育との比較や飼料要求率、発育遅延の原因・改善方法、各農場における問題点等を参加者全員で相互に評価・検討しあうことで、飼育管理技術の向上を図っています。その際には関係機関はもとより、先輩の養豚農家も参加し、自分たちの知識や経験をもとにアドバイスをしています。
平成17年度は6農場で、肥育期間が冬期の豚の調査を実施しました。18年度以降は4農場増え、10農場で肥育期間が夏期の豚の調査を行っています。養豚では特に疾病予防の関係で部員の相互訪問が難しいため、調査は当センターと全農かながわ畜産部で実施しています。
今年度で4年目ですが、今までに主に次のことを確認しています。
(1)110日齢で60kg以上になっている豚は生後160日齢以内に出荷でき、50kg以下の小さい豚は180日齢以上の出荷となる傾向がある。
(2)冬期の豚に比べて夏期の豚は、(1)の相関係数は低い値となり、110日齢体重から出荷日を予測するには困難な農場もあった。夏越しの豚は肥育後期が暑熱期に当たりその影響を大きく受けるので、冬越しの豚よりコントロールしにくい。
(3)分娩の腹ごとに発育速度や肉質分布に特徴があり、種豚の影響も大きく現れることがわかったので、肉豚の成績を把握して種豚の淘汰を検討する必要もある。
(4)密飼いは発育に悪影響を与える。
(5)150日齢までの1頭当たりの飼料総給与量(摂取量)の多い方が出荷日齢は早い。
もちろんこれらは新しい発見ではなく、すでに知られている内容です。しかし年齢の近い仲間で、「自分のやっていること・知っていること」についての情報交換をしたり、先輩農家の長年の経験や理論的データに裏打ちされた助言を通じ、作業の一つ一つにきちんとした理由があることを理解していくことは、若い参加者にとって重要な機会となっています。
年度ごとの調査でわかった結果は、部員の代表者が年度末に開催される日本養豚学会で成果発表(写真3)をしており、生産現場からの発信として大きな関心を持たれています。(開催場所:H17日本獣医生命科学大学、H18東京農工大学、H19東京農業大学、H20は日本大学予定)
![]() 写真1 発育調査 |
![]() 写真2 研究会のようす |
写真3 養豚学会での発表 |
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2 肉豚勉強会(写真4)
平成19年度から、肉豚の勉強のため、県の肉豚共進会と同じ方式で勉強会を実施しています。
優劣を競うのが第一の目的ではなく、各農場の肉豚の生体・枝肉を観察することで、自農場の肉豚の現状を把握し、他農場のものと比較することで、種豚の選定や飼養管理の改善を検討することを目的としています。生体は県家畜集合センター、枝肉は横浜市中央卸売市場食肉市場で行いましたが、会場では生体や枝肉の見方だけではなく、種豚や繁殖豚の選びかた、飼養管理の注意点等、先輩養豚農家や関係機関を交えて活発に意見交換が行われました。
去勢と雌をペアとし、平成19年度は11農場13組(26頭)、20年度は11農場16組(32頭)が出品されました。
今年度の県肉豚共進会では、若い世代の出品豚が上位に多く入賞しましたが、こうした勉強の成果が現れてきたのではと感じています。
写真4 肉豚勉強会
3 視察研修会(写真5)
平成19年度から実施しています。
19年度は、種豚選抜の技術を向上させるため、静岡県で開催された種豚共進会を視察しました。会場で出品豚を観察するのはもちろん、上位の豚をビデオで撮影したものを宿舎で見ながら、その豚の特徴、使い方、注意点等を、参加者全員、もちろん先輩養豚農家や関係機関も加わって検討・意見交換しました。
20年度は他県の先進農家との交流を予定しています。
![]() 写真5 視察先での集合写真 |
![]() 写真6 出品豚を前に意見交換 |
![]() 写真7 宿舎での検討会 |
![]() 写真8 研修会のようす |
4 研修会(写真8)
その他に、講師を招いての研修会も、平成19年度から実施しています。
19年度は、繁殖豚の管理について、養豚生産管理ソフトの研修を行いました。20年度も、ほ乳期の管理や、先輩養豚農家による種豚改善の実践を行っています。今後も部員から学びたいことを挙げてもらい、随時対応していきます。
おわりに
これまで述べた活動を応援していただくために、先輩養豚農家にも適宜参加してもらっています。 関係機関としても、親団体の(社)神奈川県養豚協会をはじめ、全農かながわ畜産部・(社)神奈川県畜産会、そして当センターが活動をバックアップしています。さらに、平成20年度からは家畜保健衛生所も加わり、衛生という視点を中心に支援の強化が図られました。
平成20年1月には、青年部に対し宮城県養豚研究会(本県の県養豚協会に該当)の研究集会での講演が依頼されるなど(部員の代表が対応)、この若い世代の活動は広く注目を集めています。
もっと知りたい・改善したいという青年部員の意欲は年々高まっており、部員と先輩養豚農家・関係機関が一丸となって、今後も活発な活動が続いていくと感じています。
(普及指導部 関谷敏彦)
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