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乳用牛・肉用牛 回答のページ
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質問と回答
乳用牛・肉用牛
Q19 カビ毒とその対策について教えてください。
<A19>
 カビ毒とはカビ(真菌)の二次代謝産物として生産される毒の総称でマイコトキシンとも呼ばれ、400種類にもなります。国内に流通する乳牛用の飼料にはコウジカビ(Aspergillus)から生産されるアフラトキシンB1、アカカビ(Fusarium)から生産されるデオキシニバレノール(通称DON)とゼアラレノンの3種類のカビ毒に対し基準値が設定されているため、購入飼料については比較的安全といえます。
 しかし家畜の飼養環境には、カビ毒の発生原因となるコウジカビ、アカカビ、アオカビなどのカビが常在していて、農場の貯蔵段階で増殖に適した条件がそろうと増殖してカビ毒を生産し、飼料を汚染する可能性があります。牛のルーメン内微生物の中にはカビ毒を分解するものも存在し、鶏や豚に比べて影響を受けにくいと言われていますが、分娩や泌乳ピーク時などストレスが高まる時期にカビ毒の影響を受け、食欲不振や下痢、嘔吐、乳量低下、周産期病などを起こすことがあります。
 購入した飼料は吸湿しないように通気を良くし、雨などが絶対に入らないように管理しましょう。飼料タンクやミキサーなどの定期的な清掃や保管場所の確認も行ってください。冬場でも、締め切った牛舎は多湿になっています。長期間保存したままの飼料に溜まったホコリが結露し、カビが発生する原因になることもあります。自給飼料については二次発酵や水分調整不足によるカビの発生に注意し、カビを発見した場合はカビを取り除き、カビの周辺部分についても給与を控えるようにしてください。サイレージは刈り取り時に混入した土により発酵前にカビ毒に汚染されている可能性もあります。カビが確認できない正常にみえる部分にもカビ毒が高濃度に存在することがあるので、牛の健康状態と飼料の品質を総合的に観察し、発生原因を早期に発見することも必要です。
 カビ毒対策は、保管中にカビを発生させないこと。そして明らかにカビが発生している飼料を給与しないことです。また日常から牛に過大なストレスを与えないような飼養環境と適切な栄養管理を行い、抵抗性を高めるようにすることも大切です。

Q18 受精卵移植で和牛の子牛が生まれました。冬場に、特に注意することはありますか。
<A18>
 はじめに、和牛の子牛はホルスタインの子牛やF1子牛に比べて小ぶりであることから、体力や抵抗力が弱いと言う認識が必要です。
 この季節、まずは寒さと換気に気を配る必要があります。子牛を飼育する場所は、牛舎の構造や条件によって様々だと思います。大切な事は、乾いた場所で管理し、換気も保たれていることです。床や敷料が湿っていると、子牛の体表も濡れてしまいます。気温も低いと、体温を奪われ体力を消耗していきます。さらに、お腹が冷えると腸内細菌のバランスを崩してしまいます。いわゆる善玉菌は低温に弱く、悪玉菌は低温に強いため、悪玉菌による異常発酵が引き起こされ、結果的に下痢などの症状となります。本来ならば、体温維持のために余分にエネルギーを摂取しなければならない状況で、下痢になると余計に消耗していき、悪循環に陥ってしまいます。体を冷やす原因を作らないために、床に薄めにワラを敷くことをお勧めします。ワラの量が多すぎると、下まで染みていった尿などからもアンモニアガスが発生するので、薄めに敷いてこまめに取り替える方法が、子牛にとっても快適でしょう。また、市販されているカーフジャケットや赤外線ヒーター、お湯を入れたペットボトルの簡易な湯たんぽなども、寒さ対策には有効です。
 換気の問題も、牛舎によって様々です。風をさえぎるために必要以上に周囲を囲ってしまうとかえって換気不良となり、排せつ物からのアンモニアガスが滞留してしまうことで肺炎などの原因にもなりかねません。風上となる側に風除けを設けたりする事で、すきま風を防ぎながら、適度な換気を確保できます。また、冬場はなるべく陽射しのあるところで飼うなど、牛舎内で条件の良い場所での管理を、おすすめします。
 子牛の飼育場所では、寝ている子牛の顔の近くまで屈んで深呼吸をしてみて下さい。アンモニア臭を強く感じたら換気の見直しをして下さい。また、敷料に手をついて濡れたり汚れがひどい時は、敷料交換のタイミングを見直して下さい。
 寒さ対策を行い、下痢や肺炎などのトラブルを防ぎ、丈夫な子牛を育てて下さい。

Q17 今年の夏は非常に暑かったので、牛も夏の疲れが残っているようです、これから注意する点は何でしょうか。
<A17>
 今年の夏は、梅雨明けから長い期間に渡り、暑い日が続きました。酪農家の皆様も暑熱対策には苦慮されたことと思います。9月に入れば、暑さも峠を越え、徐々に涼しくなってきますが、これからの時期は、暑熱ストレスを受けた牛の乳量の減少や、繁殖成績の低下等が心配されます。暑熱後の対策として以下のポイントに注意しましょう。
 暑熱のストレスにより、乳牛の乾物摂取量は減少します。そのことでエネルギーやタンパク質が不足し、生産性が低下するばかりでなく、体力も低下します。また、暑熱の負荷により、抗酸化作用のある脂溶性ビタミンも消耗されています。脂溶性ビタミンのビタミンA、Eには、免疫力増進作用があることが知られており、体内からビタミンが失われることは、乳牛のルーメンの機能、繁殖機能を低下させるばかりでなく、免疫力の低下から感染症にかかりやすくなります。このことから、秋は夏の疲れにより、乳房炎などの発生が増える時期でもあります。
 まずは、エネルギーやタンパク質を充足させ、体力を回復させましょう。乾物摂取量を回復させる工夫が必要です。嗜好性、消化性の良い粗飼料の給与や、多回給与により採食量を増やすとともに、ルーメンの発酵を安定させます。
 脂溶性ビタミンは高品質粗飼料に多く含まれていますが、自給飼料の場合、調製時の降雨や、刈り遅れなどで品質が低下すると、ビタミンが破壊され、ビタミン源としての価値が低下します。この時期は、自給飼料も品質の良いものを選んで給与しましょう。乾草中の脂溶性ビタミンは、刈り取り時期、貯蔵期間、貯蔵方法などによって、大きく変わるため、購入乾草などはビタミン含量の正確な値を求めることは難しいです。そこで、ビタミン要求量を満たすためには、化学的に合成されたビタミン剤を添加物として補給し、ビタミン栄養を適正に保つことも、大切です。

Q16 最近、「牛肉のオレイン酸含量」という言葉をよく耳にしますが、もう少し詳しく知りたいと思います。
<A16>
 牛肉の美味しさの決め手となるひとつの要因として、オレイン酸があげられます。
 平成19年に開催された第9回全国和牛能力共進会(鳥取)でも、去勢肥育牛の枝肉評価において、オレイン酸含量が考慮された点は記憶に新しいところです。これは、オレイン酸が脂肪酸の中でも牛肉の風味に影響が大きいとされる点からの試みでしたが、「牛肉(和牛)の美味しさ」について、多くの研究や生産地での取り組みも行われ、今後の和牛肉生産における方向性を示唆しているとも言えます。
 牛肉の美味しさの決め手となっているものとして、「香り」、「融点」、「脂肪酸組成」などがあげられます。「香りの成分」の種類は多様で、ココナッツ様の香りや果実様の香りなど、多様な成分が合わされたもので「和牛香」と呼ばれています。「融点」は、脂肪酸組成との関連が高く、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の比率で決定されます。融点の低い不飽和脂肪酸の比率が高いと、30℃前後の比較的低めの温度でも溶け出し、口当たりのまろやかなものになります。従って、「脂肪酸組成」において、不飽和脂肪酸の比率が高ければ口当たりの良さに加えて、コレステロール低下作用も期待できるとされています。その不飽和脂肪酸の中でも、オレイン酸は風味に対する影響も高いとされ、含有比率が高い牛肉の食味が良いとされています。ただし、肉の味といった点では、アミノ酸も関与するため、食味を決定づける要因は、今まで述べてきたものだけとは限りません。
 これらの様々な要因に対し、食味性を科学的に評価しようとする取り組みが進められ、オレイン酸が注目されてきました。すでに、独自に新たな牛肉の評価法として、オレイン酸含有率や脂肪融点を取り入れている地域もあり、牛肉の、さらなる付加価値化も進められています。

Q15 最近、種雄牛評価に「泌乳持続性」という項目がありますがどのような意味ですか?
<A15>
 「泌乳持続性」とはピーク乳量を維持する能力のことです。分娩後60日目の乳量と分娩後240日目の乳量の差から算出し、この差が少ないほど泌乳持続性が高いことになります。
 2008年11月から乳用牛の泌乳持続性の遺伝能力評価が開始され、個別の種雄牛は乳量の差の実数ではなく、2000年生まれの雌牛の推定育種価を100とし、標準偏差により標準化した97〜103の7段階で評価されています。その評価は(表1)のとおりです。
 乳牛の生産性が向上し、1乳期の乳量が増加するに伴い、ピーク時の高乳量に起因すると思われる繁殖性の低下や周産期疾病の増大などから供用年数が短縮傾向にあります。泌乳持続性は1乳期の乳量ではなく、産次の更新により生涯乳量を確保する生涯生産性向上のための指標の一つとなります。
 1乳期の乳生産量が同じであっても、泌乳持続性の高い牛はピーク乳量が低く、乳期を通じて乳量があまり変動しませんが、泌乳持続性の低い牛はピーク乳量は高いもののピークからの乳量低下が大きくなります。(図1) 乳牛の生理として泌乳初期には乳量の増加に乾物摂取量が追いつかず、体エネルギーを利用して乳生産を行いますが、このエネルギー不足を少なくすることが繁殖を順調にし、疾病を防ぐポイントと言えます。
 泌乳持続性の高い牛はピーク乳量が低いため泌乳初期のエネルギー不足が少なく、体エネルギーの動員が多くありません。乳期を通じて乳量の変化が少なく、泌乳曲線と乾物摂取量との差が小さいことからエネルギーの過不足が少ない管理しやすい牛ということになります。
 泌乳持続性に関しての酪農現場でのデータはまだ少なく、泌乳持続性に着目した改良や研究が進められているところです。みなさんの牛群にも泌乳持続性の高い牛、低い牛がいると思いますが繁殖や疾病の状況はいかがでしょうか。牛群検定成績などで個体乳量を確認して牛群の泌乳曲線を確認してみましょう。
表1 泌乳持続性評価値

図1 泌乳曲線
   図1 泌乳持続性の高い牛、低い牛の泌乳曲線

Q14 和牛受精卵移植の子牛が生まれる予定ですが、管理上、気をつけることは
<A14>
 分娩の時や人工哺育で注意するポイントを書かせていただきます。
 ホルスタイン子牛やF1子牛の場合と基本的には一緒ですが、和牛子牛は体格も小さめなため、抵抗力も弱いことを認識していただきたいと思います。
 分娩時には、次の点の確認と処置を行います。
1 羊水を誤嚥していないか:羊水を飲んでいると、せっかく与えた初乳が胃の中でうまく固まらず、結果として抗体の吸収率が下がってしまいます。  
2 体表の清拭:外気温にもよりますが、体が濡れていると急速に体温を奪い体力を消耗します。ぼろタオルやわらなどで体表を拭いて乾かして体力の消耗を抑えましょう。
3 初乳の給与:生後1時間以内に与えることが望ましいとされています。これは、生後時間の経過に伴い、免疫グロブリンの吸収能力が低下していくからです。また、初乳に含まれる免疫グロブリン量も産次数によって異なります。一般的には、初産の牛は産次を重ねた牛よりも免疫グロブリン量が少ないとされています。産次を重ねた牛の初乳を凍結しておいて与えることも効果的です。
4 臍帯の消毒:哺乳子牛の居場所となる牛床を清潔に保つことも重要ですが、まずは臍帯へのヨード注入で感染症を防ぎましょう。乳頭用のディッピング剤も有効です。
5 排便の促進:一般的に和牛子牛は、ほ乳時に飲むミルクの量も少ない傾向に有ります。しかし、極端に少ない時は便秘を疑う必要もあります。尻の廻りをマッサージして排便、排尿を促してください。
 人工哺育を上手におこなって、発育の良い、より価値の高い素牛に育てましょう。
生まれたばかりの子牛の第1胃は未発達で、乳は第4胃で消化・吸収されます。バケツからのがぶ飲みなど、下を向いて乳を飲むと第2胃に乳が行きやすくなり下痢の原因となりがちです。出来れば哺乳バケツなどからの吸引を基本として、がぶ飲みは避けたいところです。 生後1週間ぐらいから、固形飼料や良質なチモシーやアルファルファ乾草を少しずつ与えます。たくさん与えても無駄にしてしまうともったいないので、ほんの少しずつ、固形物に慣らすために与えて行きます。ある程度の固形飼料と乾草が摂取(目標とする離乳日齢で摂取量は変動します。)できる様になり、発育も良好であれば離乳が可能です。
離乳すると、飼料摂取量は急激に増加します。その際、常に新鮮な水が飲める様にすることが重要です。ミルクもほしがると思います。代わりにぬるま湯を哺乳バケツで与えるとそのうち飽きて哺乳バケツに見向きもしなくなると思います。
紙面の都合で、細かに書き切れませんが、お示ししたポイントに注意して、丈夫な子牛を育ててください。

Q13 暑熱対策について、今から備えておいたほうが良いことは何でしょうか。(H21年6月)
<A13>
酪農において、暑熱対策はとても重要です。乳牛の場合、体感温度が20度以上になると、暑熱ストレスの影響が出始め、体感温度が25度になると体温は39度を超え、より大きなストレスを受けると言われています。体感温度とは、牛舎内の温度と相対湿度の関係が、飼料摂取量、乳量、繁殖機能などの生理機能に及ぼす度合いを調査し、設定したものです(表)。みなさんの牛舎にある「ぎゅうモニター」で、温度、湿度、快適性を確認することができます。

表 乳牛の体感温度早見表
表13
<徳島県立農林水産総合技術センター 畜産研究所 データより抜粋>
 畜産技術センターのある海老名市では、乳牛の体感温度が20度を超える日は、6月上旬から増えはじめ9月下旬まで続きます。このことからも暑熱対策は今から始めても早いということはありません。
  さて具体的な暑熱対策として、扇風機、ダクトファンを利用して、牛体に直接風を当てたり、トンネル換気やリレー式換気を行い、牛舎内の温度、湿度を下げることは、とても有効です。これら送風機の点検・整備は、実際に稼働する夏場になる前に実施しましょう。
 まず、送風機のファンやガードに付いたホコリやクモの巣を払い落とします。ホコリ等があると、風力の低下や効率の悪化、消費電力の増加など、様々な問題が生じます。また、ベルト式のファンの場合は、ベルトのたわみ量の確認や、定期的な交換を行いましょう。目安は、軸間の中央を指で軽く押し10mm程度の遊び量です。また、インバーター制御盤を使用している場合は、制御盤の冷却ファン周りのホコリに注意しましょう。インバーターの寿命を著しく低下させる原因となりますので掃除をしてください。
  いざ使おうとしたときに、故障などで動かないということの無いように、事前に掃除、点検、試運転を行って、暑い夏に備えましょう。

Q12 自家育成で乳用後継牛を確保したいと考えています。育成牛の必要頭数の考え方について教えてください。(H20年9月)
<A12>

 現在の経産牛頭数を自家育成牛だけで維持しようとする場合、育成牛の必要頭数は牛群の平均初産月齢と更新率によって決まってきます。表に成牛10頭を維持するために必要な育成牛頭数を示しました。例として、経産牛40頭規模の場合、更新率25%、初産月齢24ヶ月では22頭(5.5×4=22)となり、更新率30%、初産月齢26ヶ月では29頭(7.2×4=28.8)の育成牛が必要となります。
 このように牛群の初産月齢、更新率によって必要な育成牛の頭数は大きく変わってきます。初産月齢、更新率を算出し、現在の育成牛頭数が適正な頭数か確認してみましょう。
チェックポイント1 初産月齢
 あなたの牛群の平均初産月齢は概ね目標とする月齢になっていますか。初産月齢は牛群の平均だけでなく、どのような分布になっているかも併せて確認しましょう。極端に初産月齢が遅延した個体については、その原因を特定する必要があります。分娩月齢が遅延する原因には目標とする授精月齢が決まっていない、発情の見逃し、発育の遅れなどが考えられます。出生から授精までの各段階において、栄養、群管理、環境、施設などの課題を整理し、改善を図りましょう。
チェックポイント2 更新率  
 牛群の更新率は乳牛の供用年数に影響します。あなたの牛群の過去の除籍牛とその供用年数、除籍理由を書き出してみましょう。供用年数が長くなると、育成牛の必要頭数を減少させることができるだけでなく、生涯乳量の向上、乳牛償却費削減などの効果をもたらします。また除籍理由を整理することで飼養管理改善のヒントが見えてきます。
 牛群の初産月齢、更新率の改善により、育成牛の飼養頭数を最小にし、育成費用を抑えることが可能となります。生乳価格の伸び悩み、飼料価格等の経営経費高騰のなか、計画的な後継牛確保がますます必要となってきます。
成牛10頭を維持するために比喩ような育成頭数

Q11 飼料の特性を示すRVIという指標があると聞きましたが、どのようなものか教えてください。(H20年1月)
<A11>

 RVIはRoughage value indexの略で、粗飼料価指数または粗飼料因子といい、飼料の物理性を示す指標のひとつです。飼料の乾物1kg当たりのそしゃく時間(採食時間および反すう時間)で示されており、実際の乳牛の反応から粗繊維の粗剛性によるそしゃく刺激効果を判断します。
 RVI値は第一胃の発酵恒常性維持の指標として乳牛の栄養管理に活用することができ、乳牛の健康維持のためには給与飼料乾物1kgあたり30分以上とすることが目安です。また、1日の給与飼料中の乾草、ヘイキューブ、ビートパルプ、サイレージなど粗剛性飼料のRVI値を積算して、650分から700分程度にすると、乾物摂取量と栄養要求量とのバランスがとりやすくなります。RVI値が低いと盗食を招くことから泌乳後期の過肥の要因となり、RVI値が高すぎると乾物摂取量の制限要因になります。
 日本飼養標準 乳牛(2006年版)に各飼料のRVI値が示されており、その一部を表に示します。ただし、同種の飼料であってもNDF含量により変動するため、あくまでも参考値であることに留意してください。またRVI値は体格によっても異なります。初産牛では体格が小さいので、体重650kg相当体格補正値より2割程度増加すると考えます。
 乳牛の飼料給与においては、乾物摂取量、エネルギー、蛋白質、ミネラル、ビタミンの充足だけでなく、飼料の物理性を把握することが重要です。現在給与している飼料のRVI値に興味のある方は普及指導員にご相談ください。
表

Q10 削除しました(H23年10月)

Q9 肥育前期の飼養管理が適切かを検証するにはどうしたらよいですか?(H19年6月)
<A9>

 市場上場時の素牛の状態に難がなく、名簿に掲載されている期待育種価や親牛の推定育種価が高ければ、肥育牛として出荷した際にも満足のいく結果が得られるはずです。しかし実際には、同じ血統であっても最終的な枝肉成績が期待したものと一致しない場合が多々あります。それらは、飼養期間中の環境的要因、つまりあなたの農場で行っている飼養管理がその牛に合わなかったか、どこかに不適切な部分があったためであると考えられます。この場合の牛に合った管理とは、適切な飼養環境の中で発育ステージ毎に牛が必要とする栄養を不足なく摂取させ、牛が持てる能力を引き出すことを指します。
 ご存知のように、導入〜12ヶ月齢程度までは骨格や第一胃の発育が最終段階に入ると同時に、ロースやバラをはじめとした赤肉の発育がピークに達する時期です。12〜15ヶ月齢は、脂肪前躯細胞(脂肪細胞の素)が増加する時期であり、この時期の管理、特に飼料給与が適切であれば、頸や肩が充実して幅が出てきます。この導入から半年程度の期間は、肥育期の過剰な養分摂取に耐えうる肥育牛の基礎が決定する大事な時期であるため、失敗すると以後の管理でその遅れを取り戻すのは困難です。
  このように、肥育前期の管理は肥育成績を大きく左右します。前述のように、肥育前期には体型が目に見えて変わりますが、記憶だけに頼っていると個体相互の比較が難しく、効果的に改善することは困難です。そこで、「体型の変化を記録する」ことをお勧めします。例えば、肥育ステージごとに数頭、あるいは血統やDGの大小等で分けた特定の牛を、2ヶ月程度の間隔でデジタルカメラ等で撮影すると、発育の状態が比較的わかりやすいと思います。導入から肥育中期ごろにかけて牛の前方あるいは後方から背中を撮影していきます。前方からなら、頸の途中から後躯にかけて収まるように背中を撮影することで、頸や肩、体躯幅などの変化が把握できます。

Q8 乳中尿素窒素(MUN)について教えてください(H19年1月)
<A8>

 乳汁尿素窒素は、飼料中のタンパク質を分解した最終産物であり、乳牛の栄養状態の指標となる乳成分です。
 飼料中の分解性タンパク質は、ルーメン内の微生物によりアミノ酸とアンモニアに分解され、微生物タンパク質に合成されます。微生物タンパク質の合成には、糖やデンプンが必要になります。 タンパク質合成のためのエネルギーが不足したり、分解されるタンパク質が過剰に供給されたりすると、余ったアンモニアはルーメン壁から吸収され、肝臓で無毒な尿素に変換されます。尿素は最終的には尿中あるいは乳汁中に移行し、体外に排出されます。この乳汁中に排出された尿素が乳中尿素であり、この中に含まれる窒素分が乳中尿素窒素(MUN)で、ルーメン内のタンパク質とエネルギーのバランスを示すものです。
 飼料中のタンパク質が過剰であったり、微生物タンパク質合成のためのエネルギーが不足していると、MUNは高値になります。逆に飼料中のタンパク質が不足したり、タンパク質に対してエネルギーが過剰であるとMUNは低値になります。
 高MUNは、飼料費だけでなく繁殖障害や蹄病の増加につながり、低MUNは、乳房炎、繁殖障害、低乳量の原因となります。効率的な乳生産と乳牛の健康維持のため、MUNを有効に利用しましょう。エネルギー充足の指標とされる乳タンパク質率と併せて判断する活用方法が示されています(表1)ので、参考にして下さい。
 MUNの一般的な適正範囲は、バルク乳では10〜14mg/dlとされていますが、飼料の種類や給与方法、牛群構成などにより変動しますので、まずは、農家ごとの適正範囲を把握することが大切です。
 また、1回の分析値だけで牛群の状態を判断することはできません。分析値を断片的に取り扱うことはせず、分析値の推移を乳タンパク質の推移と合わせて長期間見ていきましょう。年間の変動が小さく、安定していることが望ましく、併せて牛がしっかりエサを食べているか、毛づやや乳房の張りはどうか、ボディコンデイションはどうか、糞の状態はどうかなど他の情報と組合わせて活用しましょう。

   
Q7 なぜ乳用育成牛の体高や胸囲の測定を行うのですか?(H18年9月)
<A7>    
 育成牛の体高や胸囲を測定する目的は、月齢に応じた発育状況を確認し、適切な種付けと初産分娩をさせるためです。    
 (参考:種付け目標15ヶ月齢、体高130cm、体重370kgです。発育数値は日本ホルスタイン登録協会の標準発育値を参考にしています。)    
 育成牛が将来長い間経営を支える一員となる為には、強健性と連産性が望まれます。そのため、育成期からしっかりとした骨格と内臓の発達が欠かせません。月齢と牛個体にあわせた適正管理は、余分な育成費用の節約につながります。    
 近年の育成牛は改良が進み、体高においては標準発育値の上限を上回る牛が少なくありません。胸囲は、体重を把握する他に、将来の生乳生産に重要な臓器である心臓(循環器)や肺(呼吸器)の発達を確認する目安にもなります。    
 育成牛の管理の中でもっとも大事なことは、観察を怠らないことです。測定数値は、育成牛の成長を確認する為の目安なので、育成牛にあった体高と胸囲のバランスが取れた発育が望まれます。農場毎で努力目標値を定めて、育成管理に努めてください。

   
Q6 暑熱対策以外に、畜舎内の換気や送風の確保にはどのような効果があるのですか?(H18年6月)
<A6>
 通常、畜舎の換気効率を上げるというと、暑熱対策を思い浮かべる方が多いと思います。しかし、近年では気温の日較差が大きく、季節を問わず換気不良等に起因する飼養環境悪化が発生します。    
 まず換気についてですが、畜舎内の空気は一定時間の間に畜舎外の新鮮な空気と入れ替えなければなりません。換気効率を上げるためには、畜舎内部に空気の流れをつくることが必要です。特に畜舎の天井が低い場合は、空気の流れを妨げるような障害物は可能な限り取り除く必要があります。畜舎内にメインとなる空気の流れができれば、周囲の空気はそれに引かれるようになるので換気効率が上がります。    
 次に送風についてですが、牛に限らず高温期には生産性が著しく低下するため、効果的に暑熱対策を講じる必要があります。肥育牛舎等では直下型の大型送風機が利用されており、体感温度を下げる以外にも風圧で吸血昆虫が家畜に接触する機会を減らす効果が見込めます。しかし、搾乳牛舎を利用して繋いで飼養している場合には、スペースがないので直下型送風機を設置できないかもしれません。このような場合には、酪農で導入されているダクト送風方式や細霧装置の設置が、効果的に体感温度を下げる比較的低コストな手段であると思われます。    
 さらに、いずれの場合も送風扇の羽の汚れに注意しましょう。羽を掃除するのは、設置台数や設置場所によっては非常に大変な作業ですが、うっすらと確認できる程度の汚れでさえ、換気能力(設計換気量)を何割も低下させ、余計な電気代を発生させます。
   

Q5 乳成分で乳牛の健康チェックができるそうですが、チェックのポイントを教えてください。(H18年1月)    
<A5>    
 乳成分はルーメンの発酵状態を示すため、これをチェックすることにより健康状態や飼料給与の適否がわかります。特に泌乳初期の乳成分は繁殖管理のための貴重な情報源にもなります。チェックポイントは次のとおりです。    
(1)乳脂率:泌乳初期は乳生産に対して摂取する飼料が間に合わず、体脂肪を動員して乳生産を行います。初回検定で5%以上となる場合はエネルギーの摂取が不足し、急激に体脂肪が動員されている状態です。    
(2)乳蛋白質率:乳蛋白質はエネルギーの充足率を判断する指標になります。泌乳初期は乳量が増えるのに対して飼料の摂取が間に合わず乳蛋白質率が低下します。この時期にエネルギーの充足率を高めることは卵巣機能の回復を早めることにつながります。初回、2回目の検定で2.7%以上、分娩後70〜80日で3%以上となることが目安となります。    
(3)P/F比:乳蛋白質率と乳脂率の比率です。0.7%以下ではエネルギー不足でケトーシスの可能性が、1.0以上では粗飼料不足でアシドーシスの可能性が高くなります。
   

Q4 和牛を野草地に放牧したいのですがどの様な野草を好みますか。(H17年9月)
<A4>
 和牛は野草や樹葉が好きです。特に梅雨から初夏にかけて野草の繁茂する時期は牧草よりも好んで食べる様です。
 野草は家畜の飼料として十分な栄養を持っていますが、生育する時期や植物の部位によって成分や指向性が異なることも忘れてはなりません。
 どこでも見られるススキは、春は栄養が豊富ですが、出穂後は急激に落ちます。これは秋になると地下茎に大量に養分を貯めるためで、ヨモギなども同様です。
 クズは大量にでんぷんを蓄える根を持っており、昔から和牛の嗜好の高い野草です。
 関東に多いミヤコザサの葉はやわらかく栄養もあり和牛が好みます。ただし、ササの葉にはケイ酸が多いため、消化が悪く食滞の原因になることもありますので注意して下さい。
 シバも良い飼料となりますが、放牧圧が低いとススキ、ワラビ等に負けてしまいます。
 有毒野草以外のほとんどが和牛の飼料になりますが、野草は可食する部分が少ないため、一度に大量の栄養分が摂取出来ないことも覚えておく必要があります


Q3 肉用子牛を導入する時に注意することは何ですか?(H17年6月)
<A3>
 大切なことは、子牛が快適に過ごせる飼育環境を用意すること、そしてその環境の中でなるべく早く子牛の体調を整えてやることです。
 まず、子牛を収容・飼育する牛房は、導入頭数に見合ったスペースを確保し、収容前に必ず消毒をします。また、牛房内で快適に休息し落ち着いて歩行できるよう、清潔で乾燥した敷料を多めに入れます。導入時の長距離輸送は子牛に大きなストレスを与えます。このため、導入後の飼育環境が悪いと輸送ストレスによる免疫機能の低下が長引き、下痢等の疾病が発生しやすくなるので注意してください。
 飼料給与等について、導入初日は人間用のイオン飲料を薄めに溶かしたものやフスマを溶かした水を、良質な乾草と共に与え、よく休養をとらせます。また、その後早いうちに予防的に抗生物質の注射や生菌剤の使用、寄生虫の駆除等を実施しておくとよいでしょう。水は子牛が自由に飲めるよう、常に清潔で新鮮なものを用意しておくことが大切です。いずれにしても、子牛の状態をこまめに観察し、なるべく早く「自分の飼い方」に近づけるようにします。また、管理作業を行う際には、できるだけ子牛の体をなでるようにし、スキンシップを心がけましょう。これは、管理をしやすくするだけでなく、性格の穏やかな牛をつくり、肉質にもよい影響を与えます。


Q2 最近話題になっている搾乳ユニット自動搬送装置について教えてください。(H17年1月)
<A2> 
 従来型の搬送装置は、頭上のレールに吊り下げた搾乳ユニットや自動離脱装置を手で押して運ぶもので、運搬の労力は大分軽減されていましたが、更に自動化が進みました。
 つなぎ飼い式牛舎で、牛乳処理室から2頭毎の牛の間を結ぶレールを、1台の搬送装置に搾乳ユニットと自動離脱装置を2基装備し、ミルクタップ(2連)まで自動的に搬送・接続する装置です。また、搾乳が終了しユニットの離脱を検知すると、次の搾乳場所まで自動的に移動します。対尻式、対頭式牛舎どちらにも設置可能で、50頭規模の牛舎では搬送装置本体4台(8ユニット)が標準仕様になっています。
 従来型との比較を表に示しました。ユニットが2連のミルクタップに自動接続されるため、作業者は左右の牛の乳頭清拭、ユニット装着を行い2頭同時に搾乳できます。従って、乾乳牛や乳房炎牛を別にし、搾乳している牛を2頭ずつ並べておくと作業は効率的に行うことができます。また、搾乳ユニットは、搬送装置から外すことができ、搬送装置が故障しても搾乳作業が可能です。

表  自動搬送装置と従来型との比較
搾乳作業手順 自動搬送装置 従来型
1 ユニットの搬送 自動 手、手押
2 ミルクタップ接続 自動
3 乳頭清拭
4 ティートカップ装着
5 ティートカップ離脱 自動 手、手押
6 ディッピング
7 ミルクタップ切り離し 自動
8 次の牛へ搬送 自動
ミルクタップ部での搾乳 2頭同時 左右交互

 
Q1 よく、乾物摂取量が重要だと言われますが、何によって決まるのですか?(H16年9月)
<A1>
 給与しているエサの成分から水分を除いたものが乾物量となります。サイレージや乾草では水分含量が違うので、同じ10kg与えても乾草はサイレージの3倍以上の乾物量となります。従って、牛がどのくらいの量を食べたかを比較する場合、水分を除いた乾物量で比較すると、多い、少ないの目安になります。
 乾物摂取量が何によって決まるかというと、大別して、乳牛の条件、飼料の条件、環境の条件によって影響され、一般には、次のように言われています。
(1)乳牛の条件;体重が重く、ルーメン容積が大きく、乳量が多いと乾物摂取量は多くなります。また、ボディコンディションスコアが高すぎると乾物摂取量は少なくなります。
(2)飼料の条件;給与する飼料の消化率が高く、粗飼料の品質が良く、嗜好性の良いもの、飼料構成が良いもの(表参照)は乾物摂取量が多く、蛋白質含量が低いもの、NDF含量が高いものでは少なくなります。
(2)環境の条件;環境温度が高い場合は乾物摂取量が少なくなり、低い場合は多くなります。また、ストレスがかかると低くなります。

よく食べる飼料の条件(乾物中)
項目 割合
TDN 70〜75%
NDF 30〜35%
消化率 68〜72%
粗蛋白質率 16〜18%
粗繊維率 16%前後
粗飼料の割合 45〜55%
水分 40〜50%
大森(1994)

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