神奈川県水産総合研究所

相模湾定置網漁海況の2002年上半期の経過と2002年下半期の見通し


2002年上半期の経過

相模湾周辺の海況と定置水温(平塚沖防災研究所観測塔水深3m)

 2002年1〜6月期の平塚沖で測定した相模湾表面水温(図1)は、2月末まで平年より2度程度低めで推移したが、3月中旬以降は黒潮からの暖水波及が継続し,平年よりやや高めで推移した(図2)。5月以降は暖水波及があまりみられず、水温は平年並みとなったが、6月中旬以降再び房総半島に黒潮が接岸傾向を強め,相模湾への暖水波及がみられた(図3)。全般的に好漁時のパターンで経過した。

相模湾水温(平塚沖)
図1:相模湾定置水温(平塚沖3m深)の経過
2002年4月1日 2002年6月20日
図2:2002年4月1日黒潮流路
図3:2002年6月20日黒潮流路
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2002年下半期予測
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定置網漁況の経過

2000〜2002年上半期定置網漁獲量

グラフ 西湘地区 湘南地区 三浦地区 伊豆地区

過去3年間の1月から6月末までの神奈川県内各定置網漁場と、伊豆東岸地区の標本漁場計33カ統における魚種別漁獲量上位10種をに示した。

総漁獲量

 今期の総漁獲量は5,368tであり、前年比1.4倍、前々年比1.6倍に増加した。金田湾を除く全ての地区において、平成12年以降で最高の漁獲量であった。漁獲量上位10種については以下のとおりであった。

総計地区別水揚量

1.マアジ

 西湘および伊豆主体に1,937tを漁獲した。前年比1.3倍、前々年比2.4倍と増加した。漁獲の主体は1歳魚であったが、4月以降0歳魚(じんだ)も好漁した。伊豆地区では、マアジを1月および2月にそれぞれ42t、41tを漁獲し、平年値を大幅に上回った。3月から5月まで各地区で漁獲された。6月は西湘地区主体に漁獲がみられた。

マアジ地区別水揚量

2.カタクチイワシ

 各地区で1757tを漁獲した。前年比3.4倍、前々年比3.8倍と大幅に増加した。伊豆では2〜5月、西湘では5月、湘南では4〜6月、三浦では5〜6月の漁獲が多かった。

カタクチイワシ地区別水揚量

3.さば類

 伊豆、三浦および湘南を主体に276tを漁獲した。前年比2.2倍であったが、前々年比では0.56倍であった。西湘では12tと不振であった。伊豆では1、5、6月、湘南、三浦では5、6月に漁獲がみられた。さばっこは1月に伊豆を中心に11tの漁獲が見られた程度であった。

さば類地区別水揚量

4.ブリ(わかし、いなだ、わらさ、ぶり)

 伊豆を主体に149tを漁獲した。他の3地区では振るわなかった。前年比0.48倍、前々年比1.1倍であった。銘柄別ではぶりが25.6t、尾数3,629尾、わらさ107.1t、いなだ15t及びわかし1.5tであった。わらさは資源水準の高い2000年年級群を反映して好漁した。いなだ、わかしは少なく、2002年生まれ群は少ないと考えられる。

ブリ地区別水揚量

5.マルアジ(青あじ)

 湘南を主体に135tを漁獲した。前年比2.1倍、前々年比1.5倍に増加した。伊豆は1.7tであり、ほとんど漁獲されなかった。湘南では1月に35tを漁獲し、その後も期を通じて漁獲された。西湘、三浦では4〜5月に多く漁獲された。

マルアジ地区別水揚量

6.スルメイカ

 伊豆を主体に149tを漁獲した。前年比0.71倍、前々年比1.1倍であった。漁獲量の80%は伊豆であり、期を通じて漁獲されたが、4〜6月の漁獲量が多かった。西湘でも4〜6月に漁獲がみられた。

スルメイカ地区別水揚量

7.スズキ

 三浦を主体に105tを漁獲した。前年比2.4倍、前々年比2.3倍と大幅に増加した。1月に三浦、湘南でそれぞれ60tおよび10t、1月に三浦で14tを漁獲した。

スズキ地区別水揚量

8.サンマ

 伊豆を主体に104tを漁獲した。前年比4.9倍、前々年比21.6倍と特異的な豊漁であった。1月に伊豆で59tを漁獲した。その後は1〜6.3tの漁獲が6月までみられた。湘南および三浦地区では5月に13.6t、9.8tを漁獲した。

サンマ地区別水揚量

9.アカカマス

 湘南を主体に90tを漁獲した。前年比1.0倍、前々年比0.88倍であった。4月までは相模湾全体で毎月10t以下であったが、5月に14t、6月に50tを漁獲した。6月は湘南で33tを漁獲した。

アカカマス地区別水揚量

10.メアジ

 湘南を主体に82tを漁獲した。前年比2.1倍、前々年比2.6倍と大幅に増加した。

メアジ地区別水揚量

(11.マイワシ)

 湘南(27t)および西湘(14t)を主体に55tを漁獲した。前年比0.14倍、前々年比0.14倍と低迷した。西湘では1月に12tの漁獲が見られたが、その後は0.5t以下で推移した。湘南は1〜4月まで4.5〜9.6tを毎月漁獲した。伊豆では1月に7.4tの漁獲が見られた。

マイワシ地区別水揚量

(14.タチウオ)

 湘南(14t)および西湘(12t)を主体に39tを漁獲した。前年比0.93倍、前々年比0.27倍と、2年続けて低迷した。西湘では1月に5.1t、湘南では6月に8,2tの漁獲が見られた。

タチウオ地区別水揚量

2000〜2002年上半期定置網漁獲量


2002年上半期概況
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2002年下半期の予測

海 況

 8月以降黒潮は相模湾の沖では、蛇行を伴いつつ、おおむね直進する形となるでしょう。蛇行を伴う際は

(1)遠州灘沖で陸から遠く離れ、相模湾へ接近した後、

(2)相模湾沖で陸から遠く離れ、房総半島へ接近するように経過するでしょう。

このような蛇行の通過は期間中3回程度あるでしょう。(1)の時、相模湾の水温は高めとなり、(2)の時は低めとなるでしょう。また蛇行の北上部が相模湾に接近する際は急潮が発生する危険がありますので注意して下さい。
詳細は神奈川県近海海況予報をご覧下さい。

漁 況

マアジ

 上半期じんだと、下半期マアジ漁獲量の関係については,1994年以降2001年までの西湘地区における漁獲データから、高い正の相関が認められます。西湘地区において、6月末までに18tのじんだ漁獲がみられ、これらの相模湾周辺への来遊水準は高いと推測されます。しかし、2001年は7月、8月と更にじんだの漁獲量は増加しましたが、2002年6月以降の西湘地区じんだ漁獲量は2001年ほど高くはありません。また海況について考慮すると、下半期は黒潮からの暖水波及とともに、マアジの来遊が期待できます。

 西湘地区におけるマアジの漁獲量は、昨年を下回りますが、平年を上回る110t前後でしょう。湘南、三浦地区では、合わせて140t程度の漁獲が期待できるでしょう。伊豆地区では200t程度でしょう。

西湘地区マアジ漁獲量過去5年間

ブリ

 2002年生まれ群の相模湾への補給状況は、0歳魚が比較的多かった前年より少ないと推定され、下半期における、わかしの漁獲量は伊豆・湘南地区合わせて10t以下と見込まれます。湘南、三浦はデータ不足ですが、同様に来遊は少ないと推測されます。いなだ〜ぶりについては、近年の傾向では、伊豆および三浦地区において漁獲されており、今年も、比較的資源の多い2000年生まれと2001年生まれの来遊が期待されます。

西湘地区ブリ漁獲量過去5年間

マイワシ

 昨年11〜12月に相模湾東部に暖水が波及し、これに大羽イワシが乗って大挙来遊し、三浦地区で時期はずれの好漁となりました。しかし今年は大羽イワシに期待が持てず、0〜1歳魚主体の漁獲になりますが、どちらも資源水準は極めて低いと考えられます。相模湾全体では10〜16t程度の漁獲が見込まれ、西湘地区では約7tと、低調に推移するでしょう。ただし暖水波及に伴う突発的な漁獲は考慮していません。また伊豆地区はデータ不足のため評価は見送りました。

西湘地区マイワシ漁獲量過去5年間

さば類

 伊豆から西湘にかけて、ゴマサバ1歳魚主体に漁獲されるでしょう。0歳魚は5〜7月の漁獲がほとんど見られなかったことから、今後の漁獲はあまり期待できませんが、1999年のように主体となる可能性も残されています。漁獲量の関係式から、伊豆で200t、西湘で100t程度の漁獲が見込まれます。湘南、三浦地区はデータ不足のため評価は見送りました。

西湘地区さば類漁獲量過去5年間

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