三浦半島地区事務所
研究課の業務概要
三浦半島における園芸作物、特に秋冬ダイコン及びキャベツを 中心とした露地野菜の高品質安定生産技術を研究しています。 当地域は冬季温暖な気候を基盤に少品目多量生産の野菜経営が 行われ、30年以上の連作や年3作という作付け率の高さから くる多くの問題があります。産地の維持発展のため優良品種の 選定、減農薬減化学肥料、機械化・省力化栽培技術等の試験研究を行っています。
普及指導課の業務概要
横須賀市、逗子市、三浦市、葉山町の3市1町の農業者を対象に農業生産技術や農業経営の改善のための活動・支援を行っています。 また、新規就農者や女性農業者など多様な農業の担い手の育成・支援を行い、地域農業の活性化のための総合的な支援に取り組んでいます。
普及管内概要
地域の概要管内には横須賀市、逗子市、三浦市及び葉山町の3市1町があり、その面積は県土の6.9%を占めています。気候は温暖な海洋性気候で、特に南部の海岸地域には無霜地帯もあります。地形は三浦半島北部の逗子市から横須賀市北部にかけては丘陵地になっており、半島中部となる葉山町、横須賀市中央部は200m級の小山脈が連なっています。横須賀市南部から三浦市にかけては台地と大小の谷戸からなっており、ここに三浦半島の農耕地が集中しています。土壌は北部から中部、南部の一部にかけて重粘土地帯で、南部のほとんどは火山灰土地帯となっています。交通は都心から50から60km圏にあり、鉄道はJR横須賀線と京浜急行線が入り、道路は国道16号線、134号線及び横浜横須賀道路等が通り、久里浜からフェリーボートで千葉県の金谷に連絡しています。
三浦半島農業の概要 三浦半島農業の主要作物は冬から春にかけて収穫するダイコン、キャベツ及び夏に収穫するスイカ、メロン、カボチャです。冬期の温暖な気候や土壌等に恵まれダイコン、キャベツは全国的にも有数の大産地を形成しています。その他各種の果実や花き、畜産物が生産されています。冬春ダイコン、早春キャベツ、春キャベツについては国の指定産地となっています。
主な農産物の紹介
(1)冬春ダイコン
ダイコンは寛永年間から栽培されていたことが相模風土記に記録されています。大正14年から東京市場に出荷されて「三浦ダイコン」の名が付けられました。この三浦ダイコンは在来「高円坊系」に「練馬」を交配したものが基本で、三浦特産の冬ダイコンとして長年にわたって名声を維持してきました。しかし昭和54年以降消費動向の変化等により、「青首ダイコン」が増加し、現在は99%が青首ダイコンになっています。 冬のダイコン産地として全国有数の大産地であり、関東から北海道にかけて、大きな市場占有率を誇っています。 は種期は9月上旬から10月中旬(畦幅42から60cm、株間18から24cm)、収穫期間は11月中旬から3月下旬、収量は10aあたり約 10,000kgです。
(2)早春キャベツ
昭和25年頃からキャベツの周年栽培の目的で「夏まき冬どり」キャベツが導入され、育苗技術や品種の変遷を経て、冬系と春系の中間の早春系品種「春々丸」「金春」が主体となる栽培がされています。ダイコンと同様に冬のキャベツ産地として全国有数の大産地で、関東以北の市場での大きな供給地となっています。 は種期は8月中旬、定植期9月から10月上旬(畦幅51から60cm、株間33cm)、収穫期間12月から3月中旬、収量は10a当たり約5,000kgです。
(3)春キャベツ
昭和23年頃、三浦市松輪地区を中心に「富士早生」が導入されたのが始まりになります。チャボ玉(生育不良による小玉)や抽台対策、は種期の決定など技術改善や品種の変遷を経て、現在の品種は「金系201」「金系201EX」が中心となっています。京浜市場の4〜5月出荷の春キャベツとしては、千葉県銚子と並ぶ大産地を形成しています。最近は「石井中早生3号」「サカタ中早生2号」なども導入し、収穫期間を長くしている農家もあります。 は種期は9月下旬から10月下旬、定植は10月下旬から12月上旬に冬ダイコンあるいは早春キャベツの間作として植え付けられます。収穫期間は3月下旬から5月中旬で、10a当たり約5,000kgです。
(4)スイカ
明治中期から栽培がされ、昭和32年頃から接木栽培の普及により急激に増加しました。品種は「富士光TR」「甘泉」「金時」が多く、小玉スイカの「マダーボール」、「姫甘泉」も普及しています。 台木はユウガオ、トウガンが主に使われ、定植は4月上旬〜5月上旬で、栽培法はトンネル整枝栽培と、無整枝のオッカブセ栽培法の二通りがあります。なお、近年、品質向上のためオッカブセ栽培にて着果期につる先部にトンネルをかける先がけ栽培が増加しています。 収穫期間は6月下旬から8月中旬で、収量は10a当たり約5,000kgです。
(5)カボチャ
カボチャは昭和52年からスイカの代替作物として栽培されました。品種は「みやこ」に統一され、収穫は5月下旬から8月上旬です。完熟での出荷が特徴で食味良く、ぼかし堆肥使用のこだわりかぼちゃは市場の評価が特に高いです。最近では小型の「坊ちゃん」なども普及しています。
(6)メロン
昭和50年頃から、スイカの代替作物として産地化されました。品種は「久留米交配4号」「タカミ」「グリーンウェーブ」「キンショウ」が多く、高品質ネットメロン、赤肉系の品種も導入されてきています。 トンネル栽培が主体で、収穫期間は6月下旬から7月下旬です。市場出荷のほか宅配便や沿道直売が多くなされています。
(7)施設野菜
施設野菜は、11.2haあり営農団地整備事業や農業環境総合整備事業等で整備され、横須賀市に多くあります。作目は、イチゴやトマトなどです。イチゴでは観光農園が多くなっています。
(8)花き
三浦半島の西海岸、横須賀市秋谷周辺で、温暖な気候を利用し、明治末期より露地切花の栽培が行われています。ナバナ、キンセンカ、小菊等が主です。ナバナは「新三浦」という地元農家が育成した品種が栽培され、市場で高く評価されています。また、シクラメン等の鉢物や切り花、洋らんの施設栽培も半島内に点在し行われています。近年花の摘み取り園も始まりました。
(9)果樹
ミカンは戦前から栽培されていましたが、大半は昭和30年代後半から新植され、現在は横須賀市、三浦市、葉山町で栽培されています。観光ミカン園として脚光を浴び、全量がもぎ取りと宅配便による販売です。 横須賀市津久井地区は、地域ぐるみで観光ミカン園、イチゴ狩り、いも掘りなどが行われ、年間10万人以上が訪れています。一部地域でブドウも栽培されています。
(10)農産物利用による特産品づくり
三浦半島は農水産物が豊富であり、これらを利用し、加工に取り組んでいます。事例として三浦市の「浅漬けたくあん」、寒干しされたダイコンの「切り干し」「割干し」をはじめ、葉山町の漬物、マーマレード、横須賀市津久井のイチゴジャムは地元消費者からも期待され、都市住民と生産者交流の大きな媒体となっています。