淡水魚の寄生虫
戦後しばらくの間まで、日本では寄生虫症が珍しくありませんでした。しかし、公衆衛生の向上、化学肥料の普及(戦前の人糞は、寄生虫を蔓延させる原因にもなっていた)などにより、急激に感染率が低下しました。
近年、有機野菜の増加や生鮮食品の輸入、グルメブ−ム(躍り食いなど)を背景に増加傾向にあるようです。
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紹 介
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| 寄生虫は、他の生物(人間や動物、魚等)に宿り、栄養物を接種して生活しています。 寄生された生物(人間や動物、魚等)を宿主といいます。 |
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病 害
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| 人間:物理的・機械的障害の他、栄養障害や貧血、成虫の排泄物(毒物)による中毒があります。 魚 :人間と同じ病害の他に、養殖場などでは他の魚病の原因(誘因)となります。 |
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生 活 史
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| 寄生虫は生涯を通じ、同じ個体に限定して寄生生活するものと、幼生期と性的成熟をする宿主が異なる場合があります。 この場合、幼生期の宿主を中間宿主と呼び性的成熟期の宿主を終宿主と呼びます。 |
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予 防 法
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| ☆魚やカニ類などの生食や加熱不十分なものは食べない。 ☆魚やカニ類などの調理器具(特にまな板、お皿)等に寄生虫が付き、それが人の手や他の食物を汚染することがあるので、料理器具の消毒を心がける。 |
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治 療 法
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| ◎糞便検査及びX線等により虫卵の確認後、駆虫薬で治療します。 有棘顎口虫や剛棘顎口虫は、駆虫薬が効き難いことがあります。 |
人体に被害を及ぼす寄生虫
| 寄生虫名 | 概要 |
| 横川吸虫 (Metagonimus yokogawai ) |
主な被寄生魚介類:アユ、シラウオ アユの場合体表に小さな黒い点のようにして見えることから、”黒点病”とも呼ばれる。 鱗や筋肉に寄生している 日本、東南アジア、地中海沿岸諸国、シベリア、ヨ−ロッパなど広く分布する。 第一中間宿主はカワニナで、終宿主は、人や犬の小腸 病害性:消化器障害(下痢、腹痛)、人体に与える影響は少ない |
| 肝吸虫 (Clonorchis sinensis) |
主な被寄生魚類:コイ、フナ、ウグイ、オイカワ、ドンコ 筋肉や鰭に寄生している 日本では1877年岡山県で発見された。 日本、中国、東南アジアに分布し、日本では戦後まで多くの感染者が見られた。 第一中間宿主はマメタニシ、終宿主は人、犬、猫、ネズミの肝臓の胆肝枝 病害性:成虫は胆管枝に寄生するため、胆汁のうっ血を起こし、黄疸や腹水などを併発する。 慢性期には肝硬変になる。 |
| ウエステルマン肺吸虫 (Paragonimus westermainii ) |
主な被寄生魚介類:モクズガニ、サワガニ、アメリカザリガニ 山間地域で流行していたが近年減少している 日本、東南アジア、中南米、アフリカ諸国に分布する。 病害性:幼虫が胸腔にとどまると肋膜を傷つけ、胸部痛などを起こす。 肺を傷つけ、肺出血等起こす。 肺以外の臓器(脳や脊髄)に迷入すると、麻痺やけいれんを起こす等。 |
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宮崎肺吸虫 (Paragonimus miyazakii ) |
主な被寄生魚介類:サワガニ 本来野生のイタチやテン等に寄生するが、人に寄生することもある。 日本のみに分布する。 病害性:幼若虫が胸腔内を動き回るため、胸腔壁や肺に傷を付ける。 胸痛、呼吸困難、胸膜炎等 |
| 異形吸虫 ( Heterophyes heterophyes nocens ) |
主な被寄生魚種:ボラ、ハゼ、シマイサキ 筋肉や鰭に寄生している 汽水域に住む魚に見られる。 筋肉や鰭に寄生している 病害性:小腸の粘膜に吸着発育し、消化器障害(下痢、腹痛)などを起こす |
| 棘口(きょっこう)吸虫類 ( Echinostomatidae ) |
主な被寄生魚介類:ドジョウ、ナマズ、タナゴ、タニシ、シジミ 皮膚や鰓、内臓に寄生している。 鳥類、ほ乳類、は虫類の腸管や胆管に寄生する。 病害性:下痢、腹痛などは軽い |
| 広節裂頭条虫 ( Diphyllobothrium latum ) |
主な被寄生魚類:サケ・マス類 ”さなだむし”として有名な寄生虫、成虫は長く、6〜10mにもなる。 病害性:軽い消化器障害(下痢、腹痛) 養殖ヤマメからは見つかっていない。これは、中間宿主のミジンコを食べることがないと推定されている。 |
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有棘顎口虫 (Gnathostoma spiningerum) |
主な被寄生魚類:カムルチ−(ライギョ)、ドジョウ、コイ、フナ 筋肉に寄生する 日本、東南アジア、韓国、オ−ストラリアなどに分布する。 日本では戦争直後、食糧難から淡水魚を生食し感染者が続出した。 病害性:幼虫は皮膚の下を移行し、ミミズ腫れのような症状を示す(幼虫移行症)ほか、内臓に寄生し腫瘍をつくる。 脳や脊髄、眼球などにに進入した場合は、呼吸困難や発声障害、てんかん、失明のような発作を起こす。 第一中間宿主はケンミジンコで、終宿主は猫科動物 人間に寄生した場合、成虫にはなれない 近年、輸入ドジョウの躍り食いによる剛棘顎口虫症(剛棘顎口虫 ( Gnathostoma hispidum ))がときおり見られる。 |
参考図書:
※ 魚介類の寄生虫ハンドブック 第1巻 (1989) 東京都市場衛生検査所
※ 魚介類の寄生虫ハンドブック 第2巻 (1990) 東京都市場衛生検査所