キャッチ・アンド・リリース
芦ノ湖では、ルアーやフライの釣り人の多くが釣った魚をリリースしています。ブラックバスはキャッチ・アンド・リリースの徹底によりその数は減らないと思われていますが、現実には着実に減少しており、芦ノ湖漁漁協同組合では他県から種苗を購入して放流するなどブラックバスを増やす努力をしています。
「芦ノ湖バス・タグ&リリース実行委員会」が1994年から1996年にかけて行った標識放流結果と芦ノ湖漁業協同組合が行った遊漁調査から、キャッチ・アンド・リリースの影響を調べましたので紹介します。
方 法
この標識放流調査では、1,298尾の放流魚のうち、85尾が再捕後に再度放流されています。
放流魚が釣られた場合を1回目の再捕、この魚を再び放流し、再捕された場合は2回目の再捕というように放流と採捕を繰り返し、再捕回数が増えることによる再捕率の低下を調べたところ、次の表のようになりました。
放流回数ごとの採捕率の推移
| 放流回数 | 放流尾数 | 再捕尾数 | 採捕率 |
| 1回目 | 175尾 | 97尾 | 55.4% |
| 2回目 | 1,125尾 | 517尾 | 46.0% |
| 3回目 | 63尾 | 21尾 | 33.3% |
| 4回目 | 10尾 | 2尾 | 20.0% |
| 5回目 | 2尾 | 1尾 | 50.0% |
| 合計 | 1,373尾 | 637尾 |
結 果
放流魚の再捕率は、放流した年や産地による違いがありますが、再捕回数を重ねるに従い再捕率は明らかに低下しています。
一度釣られた魚は学習効果により釣れにくくなることは多くの魚で知られていますが、ブラックバスの場合、生命力の強さもあり繰り返し釣られる例が多くみられます。しかし、1度釣るたびに再捕率が約11%ずつ減少しており、ブラックバスといえどもキャッチ&リリースによる死亡数の多さが伺えました。
試しに、ブラックバスを1,000尾放流した場合の再捕数を推定してみました。
(放流率は93%で計算)
| 再捕放流回数 | 再捕尾数 | 再放流尾数 |
| 1回目 | 1,000 × 0.588 = 588尾 | 588 × 0.93 = 547尾 |
| 2回目 | 547 × 0.477 = 261尾 | 261 × 0.93 = 243尾 |
| 3回目 | 243 × 0.366 = 89尾 | 89 × 0.93 = 83尾 |
| 4回目 | 83 × 0.255 = 21尾 | 21 × 0.93 = 20尾 |
| 5回目 | 20 × 0.144 = 3尾 | |
| 合計 | 962尾 |
このように、1,000尾の放流で延べ962尾が再捕される計算になりますが、3回のキャッチ&リリースで、尾数は1/10以下に減少し、5回目の再捕で放流魚はいなくなることになります。

キャッチ・アンド・リリースは、決して魚に優しいことではありません。多くの魚が、釣られることにより、傷つき、死んでいくのです
釣った魚は、なるべく素手でさわらない フックのバーブは小さいもの、もしくはバーブレスにする
弱った魚は、湖に捨てずに持ち帰って食べる
この内容は、平成9年6月27日に東京で開催された「ブラックバスの明日を考える」シンポジウムで発表したものを一部手直したものです。
「ブラックバスの明日を考える」シンポジウムは、ジャパンゲームフィッシュ協会等が主催したものです。
(水産総合研究所内水面試験場 戸井田伸一)