神奈川県水産技術センター 内水面試験場
水産総合研究所(現水産技術センター)内水面試験場では、ゼニタナゴの増殖試験に取り組んでいます。
自然採卵による増殖手法が成功し、順調に稚魚が浮上しています。水槽内にイシガイとドブガイを入れ、ゼニタナゴがどちらを選択するか試験していました。
| ゼニタナゴについて コイ科に属する小魚で、河川やため池等に生息します。分布は関東地方以北の本州で日本固有種です。生息環境の悪化や繁殖に必要な二枚貝の激減により全国的に減少しています。 |
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| 県内の生息状況 神奈川県の生息地は鶴見川水系のため池、わずか1箇所でまさに絶滅寸前です。 この池では、外来種であるタイリクバラタナゴが大量に繁殖し、ゼニタナゴを駆逐しており、最近の調査では、ゼニタナゴは採集されていません。本県はゼニタナゴの自然分布域の南限および西限であり、その系統群は非常に貴重です。 |
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内水面試験場の取り組み 試験場では平成5年から、ゼニタナゴを絶滅から救うべく、その増殖試験に取り組んできました。その結果、生態試験池を使用した増殖試験で、一時は7尾であった親魚から稚魚が得られ、かろうじて次世代を確保することができました。平成8年秋、屋内RC水槽に複数の親魚を入れて試験を行い、平成9年春、44尾の稚魚を得ました。その稚魚を親として育成し、平成9年秋に100リットル FRP水槽で、雄1尾雌1尾のお見合い形式による増殖試験を3種の貝(ドブガイ、マルドブガイ、カワシンジュガイ)を用いて実施しました。その結果、現在ドブガイから70尾以上の稚魚が浮上しています。ドブガイからだけ稚魚が浮上していることから、ゼニタナゴが繁殖に利用する二枚貝について、種選択性があることもわかってきました。 |
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平成10〜11年の人工受精による増殖試験結果 平成10年の10月29日から12月25日に採卵を行い、霞ヶ浦産親魚12尾から335個、伊豆沼産親魚12尾から525個、県内産親魚から500個を採卵し、それぞれ249尾、216尾、262尾がふ化しました。この内、県内産の稚魚は5尾浮上しました。 仔魚の管理手法は以下の通りです。 ・ふ化温度は5度、10度、15度の3通りで恒温器で暗くして管理 ・容器も従来から使用しているPP製の他ガラスビーカーも使用。また、一部にはこれらの器内にビニール袋を入れ、仔魚を収容しました。 ・4月に入り、発生が進み浮上直前になったロットを恒温器の外へ出し、水深を半分にして、稚魚の浮上を待ちました。 仔魚の浮上が見られたロット ・ガラスビーカで15度で管理 ・ガラスビーカの中にビニール袋を入れ、15度で管理 |
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| 秋産卵型のタナゴは、秋に卵を二枚貝に産卵し越冬するため、稚魚が貝から出てくるのは翌春の5月頃です。この約半年間を二枚貝の鰓内と同様の環境に人工的に維持しなければならず、非常に困難な手法です。そのため、秋産卵のタナゴ類の人工増殖はほとんど成功しておらず、ゼニタナゴでも成功事例はありませんでした。今回、わずかながら浮上に成功したことで、本手法にによる大量生産への糸口が開けてきたといえるでしょう。 今後は、さらに条件設定を変えて、人工受精による増殖手法に取り組み、場内での遺伝子保存のための継代飼育を行いながら、大量生産の技術を開発します。ある程度、安定して種苗が確保できるようになったら、自然水域へと展開し、県内のビオトープや自然河川において放流試験を実施する計画です。試験場におけるゼニタナゴの継代飼育は、あくまで緊急避難措置でしかなく、その最終目的は、自然水域における生息地復元です。 |
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水槽の中には、ドブガイをいれてある この中で約半年過ごします |
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1ヶ月も経つと大分大きくなります |