ア カ ザ  Liobagrus reini の増殖試験

水産総合研究所内水面試験場では、希少淡水魚の保護増殖に取り組んでいますが、平成9年7月アカザを水槽で産卵させることに成功し、ふ化仔魚が誕生しました。

1 アカザについて

 ナマズ目ギギ科の小魚で、水のきれいな川の上流から中流に生息します。分布は本州、四国及び九州です。河川改修や水質悪化により全国的に減少しています。主に動物食で大きいもので10cm以上に成長します。

2 県内の生息状況

 神奈川県での生息記録は最近まで全くなく、関東地方におけるブラックボックスになっていました。県の実施した丹沢・大山自然環境総合調査で相模川水系のごく一部から少数が発見されました。そのため、県のレッドデータブック(神奈川県立生命の星・地球博物館発行)にも掲載されていません。

 昨年度から試験場では、アカザの分布調査を実施していますが、現在のところ相模川水系の3つの支流からしか発見されていません。その生息地は局在的であり、今後の資源動向が注目されます。

3 増殖試験の概要

 試験場では、分布調査で採集したアカザを飼育して親魚として養成し、ホルモン注射によて産卵を促進させる手法により、増殖試験に取り組んでいました。

 試験の方法は、ガラス水槽(60)にアカザの親魚を雌雄1尾ずつ入れ、水温管理を冷却して約20℃に設定し、水槽内に産卵礁を入れて自然産卵させます。

 試験を行っていた3尾の雌のうちの1尾が産卵しました。卵の大きさは約3mmで、産卵数は約50粒です。1週間後には17尾がふ化しました。また、本種は卵を護る習性があると言われていましたが、その行動の一部も確認することができました。

4 今後の展開

 安定した種苗生産が可能になるように増殖の技術開発研究を行い、試験場において遺伝子保存のための継代飼育を行います。最終目標はその生息地の復元です。

 また、今後も引き続き県内おけるアカザの分布調査を行い、その自然水域における生態についても詳細に研究を行っていきます。


研究成果 / 魚図鑑