神奈川県水産技術センター 内水面試験場

研究成果抄録 平成10年度 

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課題名 アユ精子凍結保存試験(精子希釈液pHに関する研究)(PDF) 10・9A・35・04
抄 録 全雌3倍体アユを作出するために、遺伝的に雌の魚をホルモン処理して機能的雄にした性転換アユ(にせ雄)を雄親魚として利用する。
にせ雄の作出率は低く、その精子を有効利用するため、精子凍結保存技術の開発を行った。
今回、精子希釈液のpHを調整し、解凍後の精子活性の向上を図った。
希釈液はMonuib's solutionを使用し、pHを7、8、9、10に調整した液と、対照区として未調整の液(pH7.66)とを用意した。
精子は通常のアユから採取したものを用いた。精子を各希釈液で10倍希釈し、それぞれに凍結保護物質(DMSO)を外割りで5%添加した。
これらを牛精子凍結用ストロー管に封入し、プログラムフリーザーで凍結した。
凍結完了後、40℃の温水に10秒間漬けて解凍を行い精子の運動活性を調べた。
再現性確認のため同様の試験を再度実施した。2回とも安定して精子の運動活性が最も高かったのはpH9であった。
逆に運動活性が最も低かったのはpH7であった。
課題名 人工長期継代アユの遺伝子特性調査(PDF) 10・9C・35・01
抄 録 神奈川県の人工継代アユも継代数は20代を超え、全国的に見ても長い部類に属する。
そこで、神奈川県産の人工継代アユの遺伝子特性をmt-DNA分析を用いて明らかにする。 
神奈川県で継代している人工アユの由来は、木曽川産海産アユと群馬県継代アユ(琵琶湖産)であったが、分析結果から人工継代アユは海産系由来と考えられた。
また、mt-DNA分析からハプロタイプは特定のタイプが卓越(100%)する非常に単純化されたものであり、いわゆる海産系アユのものとは異なっていることがわかった。
我が県の人工産アユのmt-DNAハプロタイプが特定のタイプに偏る単純化されたものであると言うことは、天然海産アユのものと異なるものであり、自然生態系に与える影響が危惧された。
課題名 標識放流によるアユの産地別特性評価(PDF) 10・9C・35・02
抄 録 神奈川県の河川においてアユは最も重要な魚種であり、増殖(主に種苗放流)にも力を入れている。種苗放流は、毎年約 500万尾行っており、琵琶湖産種苗、海産種苗(相模湾で穫れたもの)及び人工種苗を併用して用いている。
これら放流種苗毎の特性を明らかにするため、アユに標識を付け放流後の行動(釣獲状況)を調査観察した。
アユの放流用種苗として、古くから琵琶湖産種苗の評価が高いが、過去10年の資料を取りまとめると、ここ数年は琵琶湖産種苗の再捕率が低下し、むしろ人工産種苗の再捕率向上が見られていた。
また、解禁後3週間で放流した種苗の85%が再捕され、平均釣獲尾数も低下していることから、河川生産力の有効利用の点からもアユの追加放流の必要性が伺われた。
課題名 アユ資源量変動要因解明のための基礎研究 ,アユ産卵場分布と仔アユ降下量(PDF) 10・9C・35・03
抄 録 本県の河川漁業において重要なアユ資源の変動要因の解明とその対策のための基礎データを得るため、アユ産卵場調査と仔アユ降下量調査を行った。
産卵場の形成される場所、時期等について調査を実施した。産着卵は9月30日から12月22日まで確認され、8地点の産卵場を確認した。
降下量調査は寒川堰下流で行い、採捕尾数、濾水量、寒川堰下流放水量から河川全体について推計した。
平成10年度の相模川における降下量は約4,500万尾、盛期は10月下旬から11月中旬であったと推定された。
平成10年度は前年度に比べ産卵場の地点数、仔アユ降下量ともに増加した。
夏季の増水により川底の砂礫が流動し泥や細砂が流されて、比較的大きな砂礫のみが浮き出した状態が前年に比べ多く形成されたことによると考えられた。
課題名 絶滅危惧種「ホトケドジョウ」の自然水域復元のための増殖研究(PDF) 10・97・35・01
抄 録 全国的に減少している絶滅危惧種のホトケドジョウを増殖させ、その遺伝子の保存を行い、生息地復元のため、放流魚を種苗生産することを目的とした。
平成9年度は、60cmガラス水槽等を使用し、加温と長日処理により成熟させ、自然産卵させた。
産卵はウイロモス等の水草の他、キンラン(人工水草)にも確認された。
稚魚はワムシ、アルテミア、海産配合飼料(以下、配合)を与え、循環ろ過式の飼育で8系統約600尾を生産した。
 平成10年度は、2tFRP水槽を使用して、キンランに産卵させて量産試験を行った。約3,000尾がふ化し、平成9年度と同様の手法で、千尾を親魚サイズに育成した。
また、45cm水槽を使用して親魚の適性収容尾数について検討した。
尾数は雌:雄=1:1、1:2、1:3で成績が良く、親魚数を増やしすぎても、得られる稚魚は減少した。
さらに、初期飼料の検討を行った結果、ワムシ、アルテミア・配合の他、ワムシを省いてアルテミア・配合でも十分に育成が可能であった。
課題名 絶滅危惧種「ギバチ」の自然水域復元のための増殖研究(PDF) 10・97・35・02
抄 録 全国的に減少している絶滅危惧種のギバチを増殖させ、その遺伝子の保存を行い、生息地復元のため、放流魚を種苗生産することを目的とした。
平成9年度は、90pアクリル水槽でゴナトロピンを投与し自然産卵試験を行い、親魚2尾が産卵し、約300個の卵から約250尾の稚魚がふ化した。
稚魚はアルテミアと海産配合飼料を与え、循環ろ過式で飼育し、約60日で体長5cmに成長した。
平成10年度は、90pアクリル水槽、50LFRP水槽等を使用し、同様の手法で産卵させた。
親魚6尾から約2,000粒の卵を得て、1,178尾の稚魚がふ化した。稚魚は約60日間で、稚魚400尾を体長6〜9cm、体重3〜10gに成長させた。  
稚魚(体長30mm)を30尾ずつ60p水槽へ収容し、各種飼料を投与して、200日間、生残と成長を比較した。
アカムシと海産配合が熱帯魚用とマス用に比較して成長が良かったが、生残はマス用が生残率80%以上で最も高かった。
課題名 ミズウミチョウザメの人工育成・生態解明試験(配合飼料による飼育技術)(PDF) 10・97・35・05
抄 録 当試験場では宮ヶ瀬湖の親水池に放流するミズウミチョウザメの中間育成と生態解明試験を行っている。前年度までは生物餌量を与えて飼育していたが、今年度は配合飼料への切り替えを試みたところ、生物餌量と配合飼料の混合練り餌を与える期間を設けることで、転換が可能であることが明らかとなった。しかしながら、転換期には成長のばらつきが認められた。
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