内水面試験場業績発表大会 平成11年度
業績発表大会 > 平成11年度業績発表大会生態系復元研究の具体的事例
【目 的】
県下の希少淡水魚の分布および生態調査を実施して現状を把握するとともに、その増殖技術の開発により、飼育下での遺伝子保存を行う。
増殖技術が成功した魚種から自然水域へと展開し、健全な内水面生態系を復元する。
【方 法】
(1)自然水域における希少魚生態調査
多摩川、鶴見川、引地川、境川、相模川、金目川、酒匂川等の各水系の河川や湖沼にお いて環境調査と魚類採集調査を実施した。
(2)希少魚の飼育技術開発試験および種苗生産技術開発試験
・ホトケドジョウは、県内6系統の自然産卵による種苗生産試験を行った。
また、2tFRP水槽では、親魚の収容尾数を変え、効率的な自然産卵方法の検討を行った。
さらに、2tFRP水槽に、ふ化仔魚を収容し、量産規模の種苗生産試験を行った。
・ギバチは、90pアクリル水槽を使用して、ゴナトロピンを投与した親魚(メス2尾・オス尾)を収容し、自然産卵試験を行った。
・メダカは県内産メダカの6系統の種苗生産を行った。
・ナマズ、アカザ、カワアナゴ、カジカ、カマキリの親魚養成試験を実施。
(3)希少魚の自然水域における増殖試験
・昨年度に継続して場内の生態試験池においてミヤコタナゴの自然繁殖試験を実施した。 タナゴ池では、荒木田を投入する等の改造を実施した。
また、昨年度から継続して、生態試験池上流域でのカワシンジュガイとヤマメの復元試験を実施した。
・ミヤコタナゴに生息地復元のため、横浜市のため池における復元試験を継続して行った。今年度は、ドブガイだけ追加放流を行った。
・場内のビオトープ、谷戸池において相模川水系のホトケドジョウの復元試験を昨年に継続して実施した。
また、川崎市生田緑地のビオトープ2カ所で継続して復元試験を行い、繁殖状況等を調査した。
新たに、緑地内に造成したビオトープで放流を行い復元試験を開始した。
・小田原市、藤沢市、鎌倉市、横須賀市等で行われているメダカの保護活動や生息地復元活動に対し指導や協力を行った。
・土木事務所と協力して、県内数カ所で多自然型護岸等による環境復元に協力し、魚類等の生物調査を実施した。
【結 果】
(1)自然水域における希少魚生態調査
・主要な希少種としてスナヤツメ、ナマズ、アカザ、ホトケドジョウ、カマキリ等を採集し、その分布と生態の一部を解明した。
今年は特にカマキリが相模川で多く採集され、ほとんどが当歳魚であった。
(2)希少魚の飼育技術開発試験および種苗生産技術開発試験
・ホトケドジョウは、県内各6系統、約2,000尾のふ化仔魚を得た。初期飼料は、アルテミアおよび海産仔稚魚用配合飼料を与え、その後は熱帯魚用配合で養成し、約1,000尾を親魚 サイズに育成した。
2tFRP水槽では、1区が1,961尾、2区が7,929尾、3区が6,723尾のふ化仔魚が得られ、雄20尾、雌20尾を放養した2区が最もふ化仔魚が多く、さらに親魚数を増やした3区では、む しろふ化仔魚は減少した。稚魚の飼育試験の結果、1区、1,598尾、2区、2,054尾、3区、1,650尾、合計約5,000尾の3pサイズ種苗を生産した。
・ギバチは、親魚6尾から約5,500粒の卵を得ることができ、2,100尾の稚魚がふ化した。ふ化率は平均で40.1%であった。
稚魚の試験は現在も継続中だが、生残は良好であるが、 成長はあまり芳しくない。また、稚魚のかみ合いも多く、今後の課題である。
(3)希少魚の自然水域における増殖試験
・生態試験池のタナゴ池では今年も大量のミヤコタナゴ稚魚が浮上したが、ドブガイの生残率は低く、繁殖も確認されなかった。
生態試験池上流でのカワシンジュガイの生残率は高かったが、繁殖は確認されなかった。
・横浜市のため池において少数ながらミヤコタナゴ稚魚が採集され、繁殖が確認された。また、トウヨシノボリが大量に繁殖した。
また、今年度、始めてドブガイの稚貝が少数発見され、繁殖も確認された。しかし、ドブガイの生残率は低かった。
・場内の谷戸池では、今年も大量のホトケドジョウ稚魚が出現した。
・川崎市の生田緑地では、小規模復元池では、今年もホトケドジョウ親魚が産卵し、大量の稚魚が確認された。
また、今年から試験を開始した中規模復元池でも、稚魚が多量に確認された。
・相模川水系の鳩川では、生態系に配慮した復元を行った結果、魚類の資源量が大幅に増加した。