相模川水系におけるスナヤツメ北方種の分布と生態
Distribution and ecology of Lethenteron sp. in Sagami River system.
○勝呂尚之(神奈川水技セ内)・山崎裕治(富山大理)・細谷和海(近大院農) (2011年魚類学会 口頭発表)
スナヤツメ類の分類と生態
スナヤツメ類 Lethenteron spp. (図1)は、ヤツメウナギ目ヤツメウナギ科に属し、流れの緩やかな小川に生息します。最近の遺伝学的な研究から、北方集団と南方集団の二つのグループに分類され、それぞれ独立の種と考えられています。神奈川県では、相模川水系道保川のアンモシーテス幼生について定法によるmt-DNAにより解析を行ったところ、スナヤツメ北方種と判断されましたが、相模川本流や他の水系のスナヤツメ類については種は不明です。
本県のスナヤツメ類は、湧水域の減少や河川改修の影響で生息地が激減し、県RDBでは絶滅危惧TB類に指定されています。
調査目的および方法
本種の分布および生態の解明を目的として、相模川水系の本流および支流の142地点においてエレクトリック・フィッシャーを用いた採集調査を1995年から2004年にかけて実施しました。また、支流の道保川では、3地点において生態調査を行いました。
調査結果と考察
スナヤツメ類は、相模川本流の1地点、相模川支流の道志川3地点と道保川7地点、合計3河川11点から採集されました(図2)。道志川では採集水域は10kmに及び、採集個体数は少ないのですが、最も長い分布範囲でした。
スナヤツメ北方種の道保川における生息範囲は約2kmですが、生息密度が高く当歳魚から成魚まで各成長段階が出現しました(図3)。しかし、年や季節により採集個体数に差あり、生息密度が季節や年により大きく変化しました(図4)。成魚は、7月や8月には採集されませんが、10月には出現し、翌年の4月には姿を消します。このことから、幼生は9月〜10月に成魚へと変態し、産卵期は2月〜3月と推定されました。
1996年から2000年に採集した幼生705個体について、全長(y)と体重(x)の相関を調べたところ、y=0.0034x2.66 (R2=0.986)の関係式で表現され、全長の最大値は143mm、体重の最大値は4.5gでした(図5)。
今後は本流および道志川のスナヤツメ類の系統(種)の解明を行うとともに、道保川のスナヤツメ北方種について繁殖生態を詳細に調査したいと考えています。
※県内のスナヤツメ類について情報をお持ちの方は、内水面試験場までご連絡下さい。
アドレス⇒ http://www.pref.kanagawa.jp/div/1734/









