神奈川県水産技術センター 内水面試験場

外来魚対策

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背景と目的
 コクチバスMicropterus dolomieuは同属のオオクチバスM. salmonidesとともに、北米産の外来魚で在来水生生物への悪影響が指摘されている。雄親魚は浅い水底に産卵床を作り、卵仔を守る性質がある。産卵床保護行動を観察して、再生産抑制に関する基礎的な情報を得ることを目的とした。

材料と方法
 スキューバ潜水により水中ビデオを三脚で固定・設置し、産卵床と雄親魚を約9〜30分以上撮影した。雄親魚のエリアと行動は、エリアを産卵床の半径の3倍以内を「近く」、それより外側を「遠く」、撮影の「視野外」の3種類に、行動については「定位」、「巡回」、「攻撃」、「観察」、「不明」の5種類に分類した。動画はPC上で再生し、5秒を1コマとし60コマを1セットとして「コマ数」と「コマ連続数の平均」を記録して、主成分分析で解析した。産卵床近くでの調査作業が雄親魚の行動に影響を与えることについては、「撹乱」として解析した。

結果と考察
 延べ12個の産卵床で撮影し、55セット、3,300コマを解析した(表1)。「エリア・行動」のコマ数は、「近く・定位」が最も多く、全コマの58.4%を占め、次いで「視野外・不明」が20.7%であった(表2)。
「近く・定位」と「視界外・不明」のコマ数には負の相関(R2 = 0.80)が見られた。第1主成分得点と「近く・定位」のコマ数には強い正の相関(R2 = 0.97)、「視界外・不明」のコマ数は強い負の相関(R2 = 0.89)が見られたことから、第1主成分は産卵床近くに定位するか、視界外まで離れてしまうかを示す指標と考えられた(図1)。
卵、ふ化仔魚、浮上仔魚と成長が進むとともに、第1主成分得点が低くなった。卵の時期では産卵床で定位して保護する傾向が強く、成長とともに産卵床近くに対する関心が低くなることが示唆された。調査作業による「撹乱」でも第1主成分得点は低くなった(図2)。
 雄親魚の捕獲は再生産抑制の有効な手段である。卵の時期は産卵床で定位する傾向が強いので捕獲しやすく、捕獲できなくても作業が「撹乱」となることが期待される。浮上仔魚の時期は産卵床付近から離れるので捕獲しにくくなると考えられ、親魚捕獲に労力を費やすより、むしろタモ掬い等による仔魚の捕獲が有効と考えた。

表1 親魚行動解析に供した産卵床の性状
表1 親魚行動解析に供した産卵床の性状
 表2 エリア・行動別のコマ数と組成
表2 エリア・行動別のコマ数と組成 
図1 主なパラメータの関係
図1 主なパラメータの関係
図2 卵仔の成長段階、撹乱(作業等)有無別の第1主成分得点
図2 卵仔の成長段階、撹乱(作業等)有無別の第1主成分得点 
 相澤 康・勝呂尚之 (2011年魚類学会 口頭発表)

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