神奈川県水産技術センター 内水面試験場

海産稚アユ

 > アユの生活史  

 アユは秋(神奈川県では11月頃がピ−ク)に川で産卵しますが、生まれたふ化仔魚(6mmぐらい)は海へ下り、翌年の春川をそ上するまで海で生活します。この海で生活している時期に採捕したものを海産アユと呼び、河川への放流や養殖用種苗として利用されています。
 神奈川県の相模湾のほかに静岡県、和歌山県、宮崎県等でも採捕されていますが、最近のDNA分析の研究等により、各地の川や海に生息しているアユは形質的、遺伝的に違いがないことがわかってきました。

 相模湾産海産アユの歴史昭和5年に国立試験場(現在の中央水産研究所)の中野宗治技師が三浦半島にある長井町を訪れ、地引き網漁をしていた原田角左エ衛門と共に小田和湾に回遊してくる魚を調べたところ、アユの群を発見しました。その後、地びき網の改良や採捕方法など試行錯誤を繰り返し、昭和8年(1933年)にアユの大量採捕に成功しました。

 漁期は2月から4月の上旬で、主に夜間操業します。操業は1ヶ統15〜20人で構成し、いけす網船2隻、網船2隻、作業船3隻で行います。魚群を発見すると、魚群を取り囲むように網を入れ、陸上または船の上で網を締めます。袋網の魚捕り部分にいけすを繋ぎ、灯火でアユをいけすに誘導します。海底が岩盤のようなところでは潜水夫をつけて操業します。

 採捕場所としては、当初小田和湾が主体でしたが、その後葉山町、鎌倉、江ノ島と年々西に移り、最近は江ノ島周辺が主産地となっています。はじめは一漁業者の採捕で始まりましたが、免許の必要なことでもあり三浦郡水産会がアユ採捕の許可を申請しました。その後、昭和27年に海産稚アユ協会が発足し許可を受け、現在では横須賀市漁業振興協議会が許可を受け現在に至っています。また、昭和36年から相模湾産海産あゆ需給調整協議会が発足し、価格、採捕尾数、採捕時期、配布数量の決定などを行っています。相模湾内でのアユの生態
水温の低下する10月頃からアユは産卵を開始し、10日前後でふ化した稚魚は海に下ります。海に下ったアユは、はじめ波打ち際付近で生活し、次第に深みへ移動します。10月から12月頃までは、江の島から葉山の離岸1km以内、水深20m以浅で生息し、離接岸を繰り返しながら動物プランクトンを食べて成長していきます。12月頃から次第に各港などで、アユが見られ始めます。このころのアユはまだ色素が発達していないシラスアユと呼ばれる透明なものが多く、成長するに従い黒くなっていきます。

 1月頃から、色素の出たアユが増え群れで活発に行動します。群れは20〜30万尾ぐらいで、大きさの異なる群れが多数観察されるようになります。3月になると、相模川河口、江の島港や大磯港、早川港など港の中でアユが多数見られ、サビキ等により釣る人が後を絶ちません。神奈川県では、海でも川と同様に採捕禁止となっています。6月1日までは、アユを釣ってはいけません。

(採捕の禁止期間)神奈川県内水面漁業調整規則 第25条、神奈川県海面漁業調整規則 第35条第1項、「1月1日から5月31日まで及び10月15日から11月30日まで」

資料 神奈川県内水面漁業協同組合連合会創立30周年記念誌、相模湾産稚アユ資源総合調査報告書

稚アユ採捕の漁具稚アユ採捕の漁具 採捕場所の移りかわり
シラスアユ 稚アユ
シラスアユ 稚アユ

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