神奈川県水産技術センター 内水面試験場

耳石の形態による人工産アユと海産アユの識別

 > アユ種苗総合対策事業  研究成果 

[要約]
人工産アユと海産アユの耳石形態を比較したところ、顕微鏡下で容易に判別できる2つのタイプに分類された。海産はAタイプを、人工産の成魚はBタイプを有していた。人工産の稚魚は両タイプを有していたが、成長に伴いBタイプになることが示唆された。このことから河川調査において人工産アユを識別できる可能性が示された。

[背景・ねらい]
 近年、アユ種苗の放流が盛んにおこなわれるようになり、河川には海産アユの他にも人工産アユ種苗や湖産アユ種苗が存在している。これらを識別して、河川における放流種苗の動向や再生産系統を調査することは、河川漁場を有効に利用するために重要な課題である。そこで、種苗の由来を個体レベルで認識できる簡便な方法を検討した。

[成果の内容・特徴]
 海産種苗91尾、人工産種苗268尾について耳石の観察をおこなった。両種苗の耳石形態が明らかに異なる2つのタイプを見出した(図1)。海産アユはすべてAタイプであったのに対し、人工産アユの成魚はすべてBタイプであった(表1)。また、人工産アユの稚魚には両タイプが認められたが、成長に伴いBタイプになることが示唆された。アユの耳石は比較的大きいうえ、これら形態の違いは、顕微鏡下で容易に判別が可能であった。

[成果の活用面・留意点]
実際の河川調査で得られる魚の耳石を観察することにより、人工産アユを識別することができる。また、人工産アユを放流する際に、種苗のBタイプ耳石の出現率を把握しておけば、それを標識率として、混獲率などの資源学的解析にも応用可能であろう。しかし、湖産アユの識別方法が未開発であるので、遺伝学的手法や人為的標識などを併用すること、また、耳石形態に及ぼす飼育環境要因を明らかにすることが望まれる。

[具体的データ]

Aタイプ

表面がなめらかで外縁は丸みを帯びる
Aタイプ 
Bタイプ

表面に波状の起伏が見られ、外縁に小突起を有する 
Bタイプ 
表 1 耳石タイプの出現率 
種苗 体長
(mm)
標本数 耳石の出現率(%)
(左側/右側)
A タイプ B タイプ
海産アユ 稚魚 30 - 82 91 100/100 0/0
人工産アユ 成魚 134 - 225 38 0/0 100/100
稚魚 26 - 98 230 25/27 75/73

[資料名] 神奈川県水産総合研究所研究報告第6号
[研究課題名] アユ種苗総合対策事業
[研究期間] 平成9〜13年度

ページのトップに戻る